三角形の五心「内心」「外心」「重心」「垂心」「傍心」
五心の中でも有名なものと、なんだそれというものもありますね。
このページでは、三角形の「垂心」をピックアップして解説していきます。
今回はこんな生徒さんに向けて記事を書いていきます。
- 垂心とは?
- 垂心の性質について知りたい
- ほんとに一点で交わるの
三角形の垂心についてはこのページを見れば、ほとんど理解できるようにまとめましたので、ぜひ最後まで見ていってください。
それでは、三角形の垂心について解説してきます。
・三角形の垂心とは
・三角形の垂心《性質》
・三角形の垂心の見つけ方
・三角形の垂心《証明》
学生時代は塾でアルバイト数学講師歴4年
教えてきた生徒の数100人以上
現在は日本一周をする数学講師という独自のポジションで発信中
三角形の垂心とは
三角形の垂心の定義から
各頂点から向かい合う辺に下した垂線の交点
ここに三角形があります。
この三角形すべての頂点から垂線を引きます。
すると、3本の垂線が1点で交わります。
この点が、三角形の垂心です。
3本の垂線が一点で交わることの証明は後半に行います。
三角形の重心《性質》
三角形の重心には、いくつかの性質があります。
1:四角形ADHF,BEHD,CFHEは円に内接する四角形である
2:\(AH=2R\cos A\)
Rは三角形ABCの外接円の半径を表します。
三角形の垂心の見つけ方
三角形の垂心は、各頂点から垂線を実際に書くことで、見つけることができます。
必要なのは、三角形、筆記用具、コンパスです。
まずどこかの頂点を選び、その頂点からコンパスで弧を描きます。
このとき、コンパスが描く弧が向かい合う辺と交わるようにしてください。
弧が描けたら、2つの交点を交点ア、イとしましょう。
針の先を交点アに置き換えて、弧を描きます。
交点イでも同じことをしましょう。
すると、2つの弧が交わります。
交わった弧の交点と頂点を結ぶように直線を引くと、これが垂直です。
同様に他のを引頂点からも垂線を引いて、交わった点が垂心です。
3つ目の辺でも同じことをやっても良いですが、結局同じところに交わるので、タイムロスになっていしまいます。
三角形の垂心《証明》
三角形の垂心がもつ性質と、垂線が1点で交わることの証明をしていきます。
まずに1「四角形ADHF,BEHD,CFHEは円に内接する四角形である」を証明していきます。
これには、中学3年生で習った円周角の定理を使うと理解が早いです。
四角形CFHEに注目すると、\(\angle CFH=90^\circ\),\(\angle CEH=90^\circ\)
したがって、円周角の定理の逆を用いて、CHを直径とする円が見えてきます。
他の四角形でも同様の証明ができます。
つぎに2「\(AH=2R\cos A\)」の証明をしていきます。
これは三角関数と正弦定理で証明ができます。
Rは、三角形ABCの外接円の半径を表します。
\(AH=\displaystyle \frac{AE}{\cos \angle CAE}\)
\(AE=AB\cos A\)
\(\cos \angle CAE=\sin(90^\circ-\angle CAE)=\sin \angle ACE\)
なので、
\(\displaystyle \frac{AE}{\cos \angle CAE}=\displaystyle \frac{AB\cos A}{\sin \angle ACE}\)
三角形ABCの外接円の半径をRとしたとき、
\(\frac{a}{\sin A}=\frac{b}{\sin B}=\frac{c}{\sin C}=2 R\)

正弦定理より
\(\displaystyle \frac{AB\cos A}{\sin \angle ACE}=2R\cos A\)
したがって、
\(AH=2R\cos A\)
証明終了。
最後に、三角形の3本の垂線が1点で交わることの証明をします。
証明の方針としては、2本の垂線の交点を3本目の垂線も通過することを証明していきます。
まずは2本の垂線があり、その交点を交点Hとしましょう。
交点Hを通過するように、頂点Cから線分CDを引きます。
このとき、\(\angle CDA\)は垂直か定かではありません。
CDが垂直であることが証明できれば、3本の垂線が1点で交わることを示します。
\(\angle CFH,\angle CEH\)はともに直角なので、 C, F, H, E の4点は、CHを直径とする円周上にあります。
このことから、円周角の定理より
\(\angle HCF=\angle HEF\)である。
また、\(\angle AEB,\angle AFB\)もともに直角なので、 A, B, E, F の4点は、ABを直径とする円周上にあります。
このことから、
\(\angle AEF=\angle ABF\)であることがわかります。
よって、
2つを合わせると、\(\angle ACD=∠ABF\)がわかります。
\(\begin{aligned}
\angle \mathrm{ADC} &=180^{\circ}-\angle \mathrm{DAC}-\angle \mathrm{ACD} \\
&=180^{\circ}-\angle \mathrm{BAF}-\angle \mathrm{ABF} \\
&=\angle \mathrm{AFB} \\
&=90^{\circ}
\end{aligned}\)
したがって、
CDは辺ABに垂直であるので、3本の垂線が1点で交わることが証明されました。
おわりに
今回は五心の中から「垂心」をピックアップして解説しました。
垂心の性質はすでに知っているものとして、問題が出されるので、しっかりと覚えておくようにしましょう。
1点で交わる証明は、ほかの方法もありますが今回紹介したやり方が1番わかりやすいと思うので、証明方法も知っておくとよいでしょう。
では、今回は以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
✅ この記事を読んだ方はこちらの記事も読んでいます。