
度数法から変換したい!
今回はこんな生徒さんに向けて記事を書いていきます。
三角関数に入ると、円の中心角を\(180^\circ\)や\(360^\circ\)の度数法ではなく、\(\pi\),\(2\pi\)の弧度法で表します。
最初は謎がいっぱいですよね。

高校の三角関数では、度数法ではなく弧度法を用いることがほとんどなので、しっかり押さえておきましょう。
本記事では弧度法の意味から変換方法など、弧度法について解説していきます。
・弧度法とは?
・度数法と弧度法の変換
・弧度法を使うメリット
・扇形の弧の長さと面積の公式
・弧度法<練習問題>
学生時代は塾でアルバイト数学講師歴4年
教えてきた生徒の数100人以上
現在は日本一周をする数学講師という独自のポジションで発信中
目次
弧度法とは?
弧度法というのは、名前の通り”弧”に注目して角度を表現する方法のことです。
円の半径と弧の長さが等しくなる角度を1rad(ラジアン)といいます。
半径\(r\)の円において、円周の長さは\(2\pi r\)となり、この時の中心角を\(2\pi\)ラジアンといいます。
半円の場合は、円周の長さが\(\pi r\)なので、中心角は\(\pi\)ラジアンです。
つまり、\(360^\circ=2\pi\),\(180^\circ=\pi\)です。
他の角度も弧度法に直したので確認してみてください。
弧度法と度数法の変換
弧度法と度数法を変換して、互いに行き来できるようになると問題も解きやすくるので、変換方法を解説していきます。
ポイントは\(\pi=180^\circ\)であることです。
度数法から弧度法へ変換
まずは度数法から弧度法に直していきましょう。
\(180^\circ=\pi\)なので、
\(180^\circ\)を\(\pi\)に置き換えます。
つまり、\(180^\circ\)で割って\(\pi\)を掛けたら変換完成です。
\(90^\circ=90^\circ \div 180^\circ \times{\pi}\)
\(\displaystyle =90^\circ \times \frac{\pi}{180^\circ}\)
\(\displaystyle=\frac{\pi}{2}\)
これで変換完成です。
練習問題を最後の章で用意しているので、ぜひ解いてみてください!
弧度法から度数法へ変換
次は弧度法から度数法へ変換します。
\(\pi=180^\circ\)なので、
\(\pi\)を\(180^\circ\)に置き換えます。
つまり、\(\pi\)に\(180^\circ\)を代入します。
\(\displaystyle\frac{\pi}{3}=\frac{180^\circ}{3}\)
\(=60^\circ\)
これで変換完成です。
こちらも練習問題を最後の章で用意しているので、ぜひ解いてみてください!
弧度法を使うメリット
なぜわざわざ弧度法なんていう方法を使うのか、弧度法のメリットを紹介します。
・弧度法のメリット1つ目は、弧の長さ,面積が簡単に求められます。
次の章で解説する「扇形の弧の長さと面積の公式」から分かるように、弧度法も用いると簡単に扇形の弧の長さと面積が求められるようになります。
・弧度法のメリット2つ目は、三角関数の極限,微分がシンプルな計算になります。
こっちの恩恵の方が大きいのですが、三角関数の極限,微分を習うのは数学3なので、数学3を使わない方は気にしないでください。
例えば、三角関数を微分するとします。
弧度法を用いた微分
\((\sin x)^{\prime}=\cos x\)
\((\cos x)^{\prime}=-\sin x\)
それに対して、度数法を用いると
度数法を用いた微分
\(\displaystyle (\sin x)^{\prime}=\frac{\pi}{180} \cos x\)
\(\displaystyle (\cos x)^{\prime}=-\frac{\pi}{180} \sin x\)
度数法を用いると、比例定数\(\displaystyle \frac{π}{180}\)がいろいろなところに現れるようになり,とてもめんどくさいです。
度数法より弧度法の方が優れているという訳ではありませんが、計算をする上では弧度法の方が便利でしょう。
扇形の弧の長さと面積の公式
弧の長さと面積の公式半径 \(r\),中心角 \(\theta[\mathrm{rad}]\) の原形の弧の長さを\(l\),面積を\(S\)とすると
・弧の長さ\(l\) \(l=r \theta\)
・面積\(S\) \(\displaystyle S=\frac{1}{2} r^{2} \theta=\frac{1}{2} r l\)
つまり、扇形の弧の長さは(半径)×(中心角)で求められます。
また、扇形の面積は\(\displaystyle \frac{1}{2}\)×\((半径)^2\)
もしくは\(\displaystyle \frac{1}{2}\)×(半径)×(弧の長さ)で求めることができます。
弧の長さと面積の公式 <証明>
弧の長さと面積の公式の証明をしておきます。
証明が必要ない方は、次の章へ進んでください。
【扇形の弧の長さ】
扇形の弧の長さは中心角の大きさに比例する。
中心角が2倍になれば、弧の長さも2倍になる。
半径\(r\)の円周は\(2\pi r\),中心角は\(2\pi\)だから
比例式 \(l:2\pi r=\theta:2\pi\)
これを計算すると、
\(2l\pi=2\pi r \theta\)
\(l=r \theta\)となり、証明終了です。
【扇形の面積】
面積も弧の長さと同様に比例式を使います。
扇形の面積も中心角の大きさに比例するので,半径\(r\)の円の面積は\(\pi r^{2}\),中心角\(2\pi\)なので
比例式 \(S:\pi r^{2}=\theta:2\pi\)
これを計算して、
\(2\pi S=\pi r^{2} \theta\)
\(\displaystyle S=\frac{1}{2} r^{2} \theta\)
\(l=r \theta\)なので
\(\displaystyle S=\frac{1}{2} r l\)
となり、証明終了です。
弧度法<練習問題>
1.\(90^\circ\)
2.\(45^\circ\)
3.\(240^\circ\)
解答
度数法から弧度法に直すときは、「\(180^\circ\)で割って\(\pi\)を掛ける」だったので、
1.\(90^\circ\)
\(90^\circ \div{180^\circ}\times{\pi}\)
\(\displaystyle \frac{\pi}{2}\)
2.\(45^\circ\)
\(45^\circ \div{180^\circ}\times{\pi}\)
\(\displaystyle \frac{\pi}{4}\)
3.\(240^\circ\)
\(240^\circ \div{180^\circ}\times{\pi}\)
\(\displaystyle \frac{4}{3} \pi\)
1.\(\displaystyle \frac{\pi}{4}\)
2.\(\displaystyle \frac{2}{3} \pi\)
3.\(\displaystyle \frac{11}{6} \pi\)
解答
弧度法から度数法へ変換する場合は、
\(\pi\)に\(180^\circ\)を代入すれば良いんでしたね!
1.\(\displaystyle \frac{\pi}{4}\)
\(=\displaystyle \frac{180^\circ}{4}\)
\(=45^\circ\)
2.\(\displaystyle \frac{2}{3} \pi\)
\(=\displaystyle \frac{2}{3} \times{180^\circ}\)
\(=120^\circ\)
3.\(\displaystyle \frac{11}{6} \pi\)
\(=\displaystyle \frac{11}{6} \times{180^\circ}\)
\(=330^\circ\)
弧度法とは? おわりに
今回は数学Ⅰの三角関数から弧度法の意味についてまとめました。
数学3をバリバリ使わない学生にとっては、弧度法のめんどくせぇ!とか思うかもしれませんが、\(180^\circ\)が\(\pi\)に置き換わっただけなので、難しく考えないほうが良いでしょう。
他にも、教科書に内容に沿ってどんどん解説記事を挙げていくので、
お気に入り登録しておいてもらえると定期試験前に確認できると思います。
Youtubeでも解説動画を載せているので、そちらもぜひご覧ください。
質問や相談もtwitter(@math_travel)の方に連絡ください。
では、ここまで読んでくださってありがとうございました。
みんなの努力が報われますように!
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